皆様、こんにちは!
アサヒフレッシュロジ㈱の森です。
22年度のヨーグルト、23年度のアイスクリームに引き続き、今回は牛乳の美味しさ(「おいしい牛乳」の秘密)についてお話したいと思います。
ちょっとだけ化学のお話もしますが、最後までお付き合いください。
本題の美味しさを語る前に、牛乳が苦手な人のご意見(お腹ゴロゴロ以外の)を集めてみると、賞味期限が残っているのに、臭いや飲んだ後に口の中に残るネバネバ感がいやだというお話をよく耳にします。実は、このいやな臭いやネバネバ感の原因となっている化学物質が「ジメチルサルファイド(dimethyl sulfide)」という物質なんです。
この物質は、牛乳の主成分であるタンパク質を構成するアミノ酸が酸化して生成されてしまいます。牛乳中にも酸素が溶け込んでおり(溶存酸素といいます)、その酸素が牛乳の加熱殺菌中にアミノ酸の一部を酸化させてしまい、ジメチルサルファイドができてしまうのです。
少し脱線しますが、基礎知識として牛乳の殺菌方法を確認してみましょう。
牛乳の殺菌方法には大きく2種類があります。
その1つが「間接殺菌法」です。この方法は、熱交換器などを活用して牛乳を間接的に加熱する殺菌法で、もう1つが「直接殺菌法」です。直接殺菌法は、加圧された蒸気を牛乳に吹き込む方法と、加圧された蒸気の中に膜状の牛乳を流し込む方法です。直接殺菌法では牛乳中に水蒸気が入り込むので、加熱後、陰圧の環境下で入り込んだ水蒸気を除去しなければなりません。この時に、牛乳本来の良い香りも除去してしまうので牛乳のコクを感じ難くなります。(牛乳嫌いの人にはいいかもしれませんが・・・)
多くの消費者の皆様に牛乳を安全に、美味しく飲んでいただくためには、必ずこれらの加熱殺菌が必要ですよね。牧場の搾りたては、市販の大半の牛乳と異なり低温で殺菌されています。そのために、その牧場でしか味わえません。ですから、広域に流通させることはできないのです。
しかし、加熱殺菌中のアミノ酸の酸化を圧倒的に低減させることができたら、搾りたての「おいしい牛乳」になるのでは、というコンセプトで開発された牛乳があります。それは、牛乳中の溶存酸素を窒素ガスなどで追い出して加熱殺菌されたもので、スーパーやコンビニの店頭でよく見かける商品です。市販の大半の牛乳は、全国各地に広域流通させるため、間接殺菌法の中でも「超高温瞬間殺菌法(130℃で2秒殺菌)」を採用しています。ですから、牛乳中の溶存酸素濃度を大幅に低減させた殺菌方法が、牛乳嫌いな人でもゴクゴク飲める「美味しさ」の実現のために有効となります。


突然ですが、皆様は玉露茶のことを詳しくご存知ですか?
熱湯でいれるのではなく、少し冷ましたお湯でいれる、大変うま味を感じるお茶ですよね。
実はこのうま味の主成分は、茶葉に豊富に含まれるアミノ酸なんです。美味しい玉露茶は出汁の味がすると言っても過言ではありません。お茶の木の表面にある若い茶葉が、太陽光の照射熱で高温になり、うま味成分のアミノ酸がジメチルサルファイドに変化しないように、玉露の栽培は茶葉の上に藁を敷いた屋根をかぶせて、適度な温度と通気性を保つように手間をかけて行われています。(だから、かぶせ茶とも言う)
お抹茶にする時も、厳しく温度管理された部屋で品温を上げないように、石臼でゆっくり時間をかけながら挽いています。
玉露茶生産者様の美味しさに対する熱意や努力は、牛乳メーカー様と共通するところがあるようです。


どうですか?
玉露茶とおいしい牛乳の美味しさの秘密、解っていただけましたか?
それでは最後に、濃厚お抹茶とおいしい牛乳で作った抹茶ラテ、ご賞味あれ!
物流サービス事業者として、メーカー様や生産者様のモノづくりに対する情熱やノウハウ、技術までお客様へお届け
したいものですね。